受療行動と行動経済学

医療機関・団体が患者に対して宣伝やPRをするときに、考えるべきことはなんでしょうか。大半の施設は自院の特長などを掲載しています。

しかし、良い病院だと思っても、患者の生活圏から離れていたり、費用が他の比較して高額であれば選択の対象から外れます。皆保険での治療の費用はどこでも同じですが、自費診療や高額医療の場合には、費用が理由で選択から外れることもあります。

【行動経済学】

このような条件下の患者の受療行動を考えるうえで行動経済学があります。行動心理学についてはご存知の方も多いと思いますが、行動経済学はさらに経済的な側面を加えて考えます。

患者の受療動向や疾病の数値が「医療統計」として研究されています。近年は統計学や分析学が発達し、マーケティング担当者は「患者たちではなく各患者」に目を向けています。

患者個人に目を向けると、その個人がなぜそのような受療行動をとったのか、理解する必要が出てきます。心理学ともに個人の行動を分析して適切な医療サービスと、患者満足度を改善することに経済理論を発展させた分野なのです。

写真はノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーさんとキャス・サンスティーンさんの「実践行動経済学」の本です。

参考:行動経済学 x 医療(医学書院)

【行動経済学と患者中心の医療】

医療におけるマーケティングは一方的に押し付けることは不可能なサービスであることを前提に、満足度を上げながら患者の行動を結びつけるかにあります。患者中心の医療にはこのように一人ひとりの患者に合った医療提供とともに情報提供が必要です。

例えばEBMに基づいた情報を提供しても、経済的、家族的な背景によっては全ての患者が納得・理解することはありません。患者の要望に合わせた医療と情報提供が必要な時代になっています。

海外では社会保障制度や臓器提供などについて行動経済学的な試みがすでに進められています。行動経済学は医療のおける患者満足度やコミュニケーション。PRなどで活用されています。

臓器提供ばかりではなく、慢性疾患の患者の受療継続や、患者の治療ヘ参加には現在の医療制度、医療技術の理解は、患者満足度とともに円滑な業務のうえでは重要な項目となっています。このような観点が無いと一人ひとりの職員の力量で解決することになりより厳しい精神労働をしいることになります。

また健康について聡明な選択ができるように患者の行動から考えて、-患者中心の医療として- 情報発信を推進することが必要だとしています。

【パラダイムシフトと自助努力が伴う治療への参加】

どのようなことがきっかけで患者の受療行動や治療への参加が積極的になるかを考えるには「患者中心の医療」であることが必要です。このように受療行動を考えるうえでも、現在起きているパラダイムシフトを理解することが重要です

患者の背景や考え方などが異なりますので医療提供側の理由で患者に同じパターンの医療サービスを提供することは困難で、患者の要望や状況を理解することの重要さが増してきています。

患者の意思決定をするまえに何らかの信号を発する、または過去の履歴からの情報を参照して最適の医療サービス・情報の提供をしながら信頼関係を構築していく事が基本にあります。そのうえで、自院の医療サービスを提供することになります。

このように患者が判断しやすくなるような情報提供が必要で、従来のように大量の医療情報を提供することは必ずしも患者中心の医療とはいえません。

これからの病院広報は、患者が治療に参加したくなる「自助努力が伴った参加型の治療」に沿った広報が必要です。

参考:行動心理学とマーケティングの関係

 

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