エンゲージメントと病院広報

近年、マーケティングの分野では「エンゲージメント」についての方法論が多く出ています。当然医療に関してもマーケティングおよび広報PRを仕事としている方々には大きな課題となっています。

しかし一部の広報担当者にはあまり知られていないようですので、いまさらですが病院広報や病院経営にとってどのような意味があるかをまとめてみました。

エンゲージメント【engagement】とは

エンゲージメントは直訳すると「約束」、「契約」という意味です。 広報宣伝などの各種マーケティング業務において、消費者、患者の興味や注意を引きつけ、医療機関と患者の結びつきを強めることです。

例えば、Twitter, Facebookなどソーシャルメディアで「いいね」(共感行動)などの反応を示すこと、記事をシェアして閲覧者のニュースフィードで感想やコメントを入れて投稿するなどの行動があります。

しかしエンゲージメントが起きてもすぐに患者獲得にはつながりません。それでは意味が無いではないかと考える方もいるかもしれませんが、エンゲージメントを獲得することで関心を持った人々の小さな行動が、信頼感を醸成して迷っている患者の意思決定を後押しすることがあります。

少し遠回りなプロセスになり、広告のように直接的ではありません。しかし、最近の米国におけるエンゲージメントでは、患者との強い絆を築くことに力を入れ始めています。その結果として患者や住民が病院の方針をよく理解した唱道者のように周囲に推奨することが見られることがあります。

さらにペイシェント・ジャーニーのように患者の健康な時から術後まで多くの情報や病院担当者との接点があります。これらの情報(イベント)接点における反応をデータで見ることで、医療機関と患者の関係を計ることができます。このようなプロセスは「ペイシェント・ジャーニー(Patient Journey)」を参照下さい。

エンゲージメントに関する反応はソーシャルメディアやGoogle検索にも反応して表示順位のアルゴリズムに影響するようになっています。さらにエンゲージメントが起きると、その閲覧者の友人にも「いいね」をした情報をシステムが表示しており、情報の拡散が起きます。このようにして情報は伝播し関連地域のみならず国内、国外(言語の問題がありますが)でも同じ問題を抱えている人に届くことになります。

病院広報にとってエンゲージメントとは

この記事の部分だけだと、一般的に「いいね」をたくさんもらうことが目的と理解される方がいます。それでは本当の意味でのエンゲージメントの目的を果たせません。

医療におけるエンゲージメントの目的は患者の好意や信頼を醸成しながら患者が本当の意味で病院のサポーターになることです。それほど愛着を持つということです。このように「ペイシェント・ジャーニー」で強い関心をもった患者が医療機関についての情報収集の段階に進んだり、病院を個人的にPRするなど広報ボランディアとして活動するほど強い愛着を持ってもらうことに意味があります。

例え医療圏外の閲覧者の「いいね」も患者に関心を持ってもらうには十分な力があります。「いいね」の数だけに注目するだけではなく、そこからどのような情報提供(接点)を提供できるかによってエンゲージメントが強化されることになります。

このようにエンゲージメントは従来の広告とは異なり、患者視点(中心)の情報提供や直接的な対応を通して信頼関係を構築するためのキーワードになります。特に患者との交流が日常作れない現代だからこと、医療サービスだけでなく、このような体験(ペイシェント・エクスペリエンス)を通して信頼関係を築くことができる唯一の方法です。

日ごろから患者との直接的な交流や信頼を構築できる環境であっても、より密なコミュニケーションや業務効率を考えるときには「エンゲージメント」は指標の一つになり得ます。

以上はマーケティングの観点からのエンゲージメントですが、職員とのエンゲージメントを考慮することもできます。その場合は職員との信頼感の醸成が目的となります。

患者のエンゲージメントを得るために

それでは具体的にどのようにしたら患者とのエンゲージメントを推進できるのでしょうか。そのポイントは次の5項目が考えられます。

  1. 一人ひとりの患者の状況の違いを理解した情報提供
  2. 患者の行動に合わせて対応
  3. 長期にわたって継続的な情報提供
  4. 常に患者中心の対応を考えて実行
  5. 患者はいつでもアクセスできる医療情報

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