地域連携・かかりつけ医の営業ツール

平成28年度からは医療機能の分化と連携、主治医機能が強化されることになりました。

厚生労働省は医療の質向上のために診療報酬というインセンティブをつけて医療施設間の競争を加速させる方向に転換しました。

かかりつけ医を重点的に評価し、地域包括診療料等の施設基準の緩和、小児かかりつけ診療料を新設するほか、歯科医や薬剤師のかかりつけ機能も診療報酬上で評価し、それぞれの役割の明確化とかかりつけ医機能を推進する方針です。参照: 平成26年度診療報酬改定の概要

かかりつけ医になるということは、患者に選ばれるということにほかなりません。医療サービスとして質の向上という条件に加えて患者や周辺医療機関との関係強化または再構築が重要な課題です。

また地域連携を再構築するということは、求められる医療サービスの基盤があって医師からソーシャル・ワーカーまで各担当者の人間関係ができていることが要求されています。

知名度や関係構築は一朝一夕で改善するものではなく、医療機関や介護施設は特長が明確でないと選ばれることは少ないです。費用をかけて宣伝をしたら知名度は高くなるかもしれませんが、信頼は必ずしも得られることはありません。費用面と効果で積極的な広報・PRをしない経営者もおります。(宣伝と広報を一緒にしていることで上記のような誤解をしている経営者を見かけることがあります))

すなわち知名度を上げるだけでなく、信頼と愛着をもって継続的に患者や医療関係者が受診・利用することがなによりも求められます。そのためには従来のような一方的な宣伝とは異なり患者や医療関係者には利用前の早い時期から自院を認知、さらには愛着や関心をもってもらうことが必要です。これからは患者を待っているだけでは何も変化しません、特に新規の診療科、病棟や治療法など浸透するまでには時間がかかります。この状態を解決する方法には広報・PRのツールが必要です。

既存の広報や渉外(営業)ツールやその使い方は十分に機能や効果を感じることは今後少なくなります。理由は一部の医療機関ではすでに始まっているように、渉外ツールを強化しております。このように患者や他の医療施設に対する情報発信やコミュニケーションが地域連携担当者の努力で格段に変化しています。すなわち多層的に接点を増やすことで直接的な接触や関係を補うことになります。

病院経営者および経営部門はこのような変化と診療報酬改定の背景をしっかり読み取ることが必要と考えます。

●情報発信と関係再構築

患者や住民に選んでもらえる医療機関であることを発信、また周辺医療機関や介護施設などとの良好な関係構築には具体的にどうしたらいいのでしょうか。

まずは提供する医療サービスを明確にし、それぞれに向けて「適切」な情報発信(提供)が必要となります。

そのまえに院内の病床変更や医療サービスについて職員が納得し、内容を理解されていることが患者や連携医療機関と担当者以外の職員との齟齬を低減することができます。したがって院内コミュニケーション(広報)もかかせません。この部分は地域連携担当者よりも経営者または総務がより力を発揮できる部分です。

上記のような環境整備をしながら営業(渉外)ツール(印刷物、ホームページ、イベント、ソーシャル・メディア他)を医療サービスの特徴にそって作成または更新します。このとき地域包括ケアシステム、かかりつけ医としての自院の特徴がわかりやすく紹介されていることがポイントです。

さらに今回の診療報酬改定では退院調整加算が拡充されます。患者の受け入れだけでなく退院にも努力を要求しています。従って患者の受け入れのみならず円滑な退院にも患者や引き受け病院または施設との情報交換とそれをサポートするツールが重要です。

そのツールは自院のホームページメディアをはじめとして印刷物やソーシャル・メディアなどで発信して、自院のブランドを露出していく工夫が必要です。

●どこまでマンパワーとコストをかけるか

中小医療機関や診療所で、情報発信やイベントなどを充実することはマンパワー的に限界があります。それを理由に情報発信をしないことは、経営に大きな影響が数年以内に出てくるものと考えています。

情報発信には現在多くの人材と費用が必要になります。情報発信は現在多くのメディアの選択肢がありますが、すべてを高い品質で展開できる事業所は極めて少ないと思われます。したがって自院にあったものを選択することと同時に配信自動化や広報組織の見直しで人員とコストを大きく増加することなく推進することが可能です。

適正な事業を展開していくうえで広報宣伝費は必要と思われますが、その費用感は経営者・管理職により差があります。ここでは具体的な費用例はあげませんが、費用対効果をどのように評価するかによります。また関係者への説明にしてもコミュニケーションの価値と評価方法を知ることが業務を円滑に進めるためには基本事項です。

●まとめ

従来の保険制度で差別化しない医療を提供し成り立っているので、患者に選ばれる医療機関になるためには、医療の質向上と差別化・情報発信が必須であることは理解していただけたと思います。

差別化には強みと弱みをはっきりさせ、経営方針に沿って情報発信とコミュニケーションを強化・継続していくことがポイントです。このように経営方針や病床変更、医療サービス変更などの情報を興味や関心を持っている方に絞って速やかに発信していくことが同じく重要です。

経営方針や戦略が決まれば具体的な業務に落とし込むことができます。例えば地域医療連携室の業務では、地域医療提供の現状把握、医師会との関係の構築、連携先の開拓、連携先との関係維持、地域連携パスの運用管理、院内医療連携委員会の運営など。また広報活動管理業務ではイベント・セミナー企画、カンファレンスの支援、統計管理、インターネットや印刷物等の情報発信メディアの整備などがあります。

これらの営業ツールは患者への適正な医療サービス提供、連携する医療機関への対応、円滑な退院調整など地域包括ケアシステムに対する考え方を分かりやすくを基本に自院の経営方針に沿った選択が必要です。

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