緊急事態宣言解除後の病院広報・PR

新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言解除されました。しかし新型コロナウィルス感染症禍は続き医療機関や介護施設は変わらず感染症対策を維持しながら、業務を以前の状態または新しい病棟設定して継続しています。

無症状の陽性患者の対策もままならないので外来患者の受け入れは困難であり、医療機関によっては痛しかゆしで前に進めない状態にあります。一方患者も医療機関での感染のリスクを考えて受診を控えています。

7月には一部に感染者の増加があり情勢が不安定であり、人々の感覚が変わっていく中で患者とのコミュニケーションは困難な部分があります。こんな時は静かにしているという広報担当者もいるように、広報業務が機能していないケースも見られます。

確かにこの状況においては外来や新しい入院患者へのアプローチは難しいものとなっています。それでも以前と変わらない宣伝・広報・PRを継続することはかえって逆効果となることも想定する必要があります。

自院の危機管理を参照しながら新型コロナウイルス感染症のダメージコントロール(またはBCP)やリカバリーマネージメントを強化し、患者や住民とのコミュニケーション、エンゲージメントを強化するための新しい(リカバリーの)フェーズの病院広報PRについてまとめてみました。

参考:新型コロナウィルス緊急事態宣言の病院広報とリスク・コミュニケーション

現状

新型コロナウイルス感染症で4月の医業収入は新型コロナウィルス感染症治療に携わった医療機関も含めて10%以上低下し、医療対応だけでなく経営的な側面もダメージを受けています。入院患者の抑制や外来診療の停止など想定外の減益になり、運転資金に影響が出ている医療機関もあります。この状況は医療的、経済的、心理的、さらに人事面でも継続することが予測されます。

外来診療は人的に対応できる医療機関は徐々に診療科数を増やしています。外来で非常勤の医師での対応をしているところは再契約のため診療まで時間がかかっているケースもあります。人間ドックに少し予約が入り始めていますが、例年よりもどの医療機関でも低調です。

患者は医療機関での感染を恐れて受診を控えていることが顕著に表れています。医療機関は新型コロナウイルス感染症対策と同時に医療サービスの見直しや診療体制の強化は注力しています。7月9日に都内で224人の新型コロナウィルス感染が確認され、この数値は4月17日の感染者数206人よりも多く、検査率も上がったのですが陽性率も上昇傾向で緊張が高まっています。

7月に入って看護師など医療従事者の退職・転職が増加傾向にあります。さらに減給、賞与カットの大学病院では同時に多数の看護師の退職が明らかになっています。

新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言解除後の広報

既にご存知と思いますが、患者の受診行動には大きな変化が生じています。広報担当者や経営者は院内はもとより患者の動向に感度を高める必要があります。

緊急事態宣言解除後は明らかに患者・住民は緊急事態宣言終了から希望を感じられる動きがでております。しかし患者は受診行動に至っていませんので気持ちには新型コロナウイルス感染症への恐れはそのまま残っておりますので、患者が受診をためらっているケースが多く見られます。

患者の自身の健康への関心を高めるには患者とのコミュニケーションを再度構築することが必要です。従って患者の持っている情報をアップデートする必要があります。自院として「どのように新型コロナウイルス感染症対策をして医療を提供しているか」を伝えることは重要です。難しい状況ですが、発信しないと何も伝わりません。こういうときだからこそ、患者や医療関係者に情報を提供し、コミュニケーションをとっていく努力が必要です。

ポスト緊急事態宣言(新型コロナウィルス感染症禍)の病院広報PRはその内容について難しい部分がありますが、リスク・コミュニケーションをしっかり実施されていた医療機関は比較的スムースに広報の次のステップであるリカバリーを目的としたコミュニケーション・PRスムーズに始められます。

即ち新型コロナウイルス感染症の陽性患者が増加したときに、新型コロナウィルス感染症の医療情報とともに自院の状況や陽性患者の有無などについて適切な情報提供をしており、ここまでの過程が患者・住民に理解され、信頼が構築されていれば、次のステップに進み易くなります。ほとんどお知らせだけを流している場合は、自院の現在の状況を丁寧に説明しその反応を見ながらコミュニケーションを継続して行くことが第一段階です。

リカバリーを目的とした広報は上から目線では無く、また機械的な言葉の羅列も排除しながら、自院の状況を伝えることに留意し、リカバリー(信頼と自院の状況、新型コロナウイルス感染症に関する対策の強化)を目的とした広報の内容を検討することが第1歩です。

主な訴求ポイントは

  1. 自院の理念と医療サービス、及び広報の基本方針
  2. 患者の今の関心、気持ち、そしてその変化に寄り添うメッセージと安全対策への言及
  3. 職員のストレスや生活環境の変化への対応

これらの対応の基本としてどのような基本方針で広報対応をするかを明示しておくことが透明性を担保しやすくなります。

このような情報提供で信頼が構築されれば、時間の経過とともに患者・住民など周囲の動きに安定感が伴ってくれば受療行動も上向くものと考えています。また職員との信頼関係構築も人事担当者と調整しながら推進することが求められます。

現状でメディアプランを作成することは極めて困難ではありますが、自院のポジションを経営者によく確認して戦略的な広報PRが求められる時期です。これにより信頼関係の回復にかかる時間を時間を短くし、病院経営を早く回復させることができます。

新しいステップへの広報の対応はイメージがし難いと思いますので、参考まで医療関係で参考になりそうなサイトをピックアップしてみました。

次のようなメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)のサイトはわかりやすく参考になるかもしれません。

このマスクをした女性は経営委員会のウィリアム医師です。ご存知のように米国では今まではマスクをすることは、このような動画撮影の場合にはありませんでしたが、ウィリアム医師があえてマスクを着用して伝えていることはその緊迫感を伝えるには十分な意味があります。

またタイトルにもあるように、これらの対応はより患者一人ひとりに近い存在で遠隔医療システムを使って医療を提供する意志を伝えています。規制だけではなく距離感や不安感に対応するソリューションを提示していることが前向きでいいと思います。

さらに自院の感染対策について、丁寧に説明していることが患者にも届くと考えられます。

●次はクリーブランド・クリニック(Cleveland Clinic)の院長の挨拶

この動画の中で患者にフォーカスしたメッセージで安心感を与えています。

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クリーブランド・クリニックの感染対策の動画

クリーブランドクリニックはより多くの事例で説明していることが印象的です。ここでも患者を第一に考えていることを伝えることは安心感を患者に与えます。

対策

自院のBSC(事業継続計画書)やリスクマネージメント、さらに自院のポジショニングを確認しながら病院広報とコミュニケーションを新たなフェーズ(リカバリーを目的とした)に向かっていくことが必要です。

メイヨー・クリニックやクリーブランド・クリニックのようには出来ない場合には、最低限下記の内容を文字や写真で表現することをお奨めします。

  1. 患者に寄り添う姿勢と自院の職員などの現状を紹介
  2. 自院の感染症対策
  3. 患者の受診を控える気持ちに配慮した情報提供
  4. コロナ禍での健康啓発
  5. 自院の医療提供状況と入院患者との面会

内容については経営者との調整をしてからになりますが、患者の状況を分析することが必要です。

また第2波、または今年の12月以降に再び陽性患者が増えることを想定して、患者・住民への啓発や感染拡大時を想定した自院の体制を説明していくことは効果的と考えております。

update:2020.07.10

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